ソーシャル電通人

トップ >ソーシャル電通人 > #004岡田 怜奈さん / 秋永 寛さん(後篇)
ソーシャル電通人 #004(後篇)

ソーシャル電通人 #004
岡田 怜奈 電通 MCプランニング局 / 秋永 寛 電通 第4CRプランニング局 
 悩んで、考えて、自分たちにできることにたどり着いた。

東日本大震災のあたらしい支援のカタチとして、南三陸町にある杉と工房の人と技術、そして東京のクリエーターが組んだ「TREE THREE」プロジェクト。東京から杉を使ったプロダクトのアイデアとデザインを提供し、現地でプロダクトを制作し、販売する。そのしくみの立ち上げからかかわる岡田さん、秋永さんに「はじまりといま」を聞きました。

――そこから、「TREE THREE」の立ち上がりまでのことを教えてください。

(岡田)南三陸の名産の1つがタコで、震災前から「オクトパス君」っていうタコのかたちの文鎮があったんです。「置くとパスする」っていう合格祈念グッズで、ダジャレです(笑)。そのオクトパス君が、震災効果でたくさん売れて、全国から取材も来ていたんです。

でも、私たちとしては、オクトパス君のデザインをどうしようかっていうお手伝いをするのはちょっと違うんじゃないかなという話をして、オクトパス君とは一線を画して独自のブランドを現地の工房といっしょにつくったほうがいい、私たちのアイデアやセンスが入ることで全国的に売れるようなモノをいっしょに開発していけたらいいと考えました。そして、「現地のみなさんが、これならつくりたいというものをつくってもらえばいいと思います」と伝えて、「TREE THREE」が立ちあがることになったのです。

「TREE THREE」の由来は、杉っていう字が「木」と「三」に見えるっていうところからで、これもダジャレなんですけどね(笑)。ちなみにYES工房も阿部さんのダジャレで、廃校の「廃(はい)=YES」なんですが(笑)。

(秋永)ちょっときびしくいうと、オクトパス君には「支援」という気持ちがベースにあって買ってもらっているところがあったりする。それはそれでいいと思うのですが、ほんとに欲しいモノというか、「あ、これ買ってもいいな」とか「かわいいな」って思えるモノだったりすると、ビジネスとしてもきちんと回っていくだろうっていうのがあって、そうしていくのが僕らなりの支援のかたちかなとは思っています。  

阿部さんってちょっと変わっていて、「売れたら恥だ」みたいなことをいい出したりするんです(笑)。意味合い的には、「みんなが理解できるモノをつくってもしょうがない」っていうか、モノづくりの精神を極端にいい表すとそういうことになるのかなって僕は解釈してるんですけど。そういうことを被災地の人がズバっといってくる感じとかがすごくおもしろくて、そういうのは僕らのモチベーションにもつながるっていうか、モノづくりのおもしろさみたいなことにつながってて、いいなと思っています。

――「TREE THREE」ブランドの売り方については、どんな感じで考えているのですか?

(岡田)まずは、YES工房の「TREE THREE」ラインというかたちで、ウェブで売るのと、あと、私たちとしてはインテリアショップみたいなところに置きたいので、そういうところは個人ベースで口説いていこうと思っています。でも、なにが売れるかはやってみないとわからない。ちょっとでも軌道に乗って中長期的にも売れていく商品が1個でもできると、継続して利益ができるのでいいなあと思っています。

軌道に乗ったらっていうのも変ですけど、1か月に1回とかこちらから新しいデザインを入れて、YES工房にはつくりたいときにつくりたいモノをつくってもらって、試作品ができたら送ってもらって、よかったら売っていきましょうというしくみにして、とりあえず1年間やってみましょう、という話をしてるんです。

(秋永)僕らがつくった試作品をフェイスブックにアップしたりして、「それ欲しい!」という声が多かったモノを商品化していくとか、そういうことができるといいなと思っています。いいモノが広がるしくみを考えるというより、「広まっていくモノこそがいいモノ」だっていう気持ちもあります。「これ広めたいな」って思うモノに、みんながどんどん「いいね!」を押したり、シェアしている感じがあって。そのモデルになるようなことがこれで試せると、広告とか、僕らの仕事の仕方としてももっと新しい可能性が見つけられたりするのではないかなと思っています。

――「TREE THREE」が売れたら、その後はどんな展開を考えているのですか?

(岡田)ゴールはあえてつくっていないというか、どんどん変わっていけばいいなって思っています。いま、とりあえず期間を1年ということにしているのも、途中で「こっちのほうがいいよね」っていうのが見つかれば、そっちにすればいいとも思っているし、かかわりつづけることがいちばん大事なんだという気がしています。売って利益をつくりだすことが当面の目標なので、もちろんそれはめざすんですけど、別の目標が出てきてもそれはそれでいいと思うし、みんなで話し合って決めればいいと思っています。

もうみなさんの顔が見えているから、1年でハイ終わりってことにはならないし、どんなかたちでもたぶんつづいていくんだろうなっていうのはあります。メンバーも、どんどん増えてもいいし、つづけることが大事。 それにかかわっている限り震災があったってことを忘れないし、ふるさとの一部みたいな感じにもなると思う。向こうに知り合いが何人もいるっていうこともよかったし、いっしょにやろうっていう人がいれば、どんどんやりたいって思っています。

(秋永)プロダクトがわかりやすいと思って提案したんですけど、もうちょっとイベントぽいというか、少しアートっぽい企画の話もしてみたら、意外と反応があったりするんです。「それおもしろいかもな」とか「それ儲かるんじゃないの」とか(笑)。「そういうのはちょっとわからないです」っていうことにはならなくて、ちょっとびっくりした。

語弊があるかもしれないですが、僕らの気持ちのなかでは「支援」という感じは少ないんです。プロダクト以外にもできることがありそうだし、ボランティアで来てる人たちをどう生かすかみたいな、そういうワークショップのアイデアを求められたり。ボランティアのみなさんが集まる施設があるんですが、そこをどうプロデュースしていくかとか、アイデアが必要な場面っていっぱいありそうなんですよね。

僕らがアイデアを提供して、現地のみなさんといっしょにかたちにしていくことでいいサイクルが生まれると、かたちはどうあれ、関係はつづいていきそうだなと思っています。

この記事へのコメント