ソーシャル電通人

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ソーシャル電通人 #003(後篇)

ソーシャル電通人 #003
並河 進 電通 ソーシャル・デザイン・エンジン コピーライター  広告にできることは何か、自分にできることは何かを、つねに考えている。

「電通ギャルラボ」「nepia 千のトイレプロジェクト」などさまざまなソーシャル・プロジェクトを手掛ける並河進さんに、ソーシャルのおもしろさや課題について、いま考えていることを聞きました。

――「ギャルラボ」の今後の展開について、どんなことを考えていますか?

僕も悩んでるんですよね、ギャルとソーシャルの二足のわらじをずっと続けているんで(笑)。でも、考えてみれば、ギャルも含めて、ソーシャルなんですよね。若い子とリアルにコネクトしてないソーシャルはダメだって思っているんです。ソーシャルやるんだったら、EXILEのHIROさんぐらい、若い子に尊敬されているのが、僕の理想なんです。そうじゃないと、ソーシャルって、ムラ社会みたいな、一部の人たちががんばっているニッチな存在になってしまう。ソーシャル=社会的な活動が、狭い世界でいいわけがないですよね。

電通にいるよさは、「異なるもの同士」をつないでいける、ブリッジできていくところだと思う。だから、そういう掛け算がおもしろいですよね。だから、ソーシャル局にいながら「ギャルラボ」を立ち上げた。「ソーシャルにいて社会貢献」っていうのは当たり前だから、「ソーシャルにいてギャルっていうのがおもしろくない?」みたいな(笑)。それって、ギャル用語でいうと「ギャップ萌え」って言葉になります(笑)。ソーシャル用語でいうとなんだろう……(笑)。結局、オープンイノベーションの考え方も、元をたどるとそういうことだと思います。自分たちだけじゃなくて、違う人と接して、違う考え方とかが混じり合っていくことで何かが生まれていく。そういうことが本能的に昔からやりたいんだなぁと思っています。

――「ギャップ萌え」って、どんな感じなんでしょう?

理想としては、「裸祭り」がやりたいんです。精神の「裸祭り」。既成概念とか偏見とか、そういうものに囚われないぞっていうことを表すとなると、やっぱり究極は「裸祭り」ですよ(笑)。

出張でドイツに行ったとき、偶然なんですが、ベルリンのゲイパレードに遭遇したことがあるんですよ。ゲイやレズビアンたちが「WE ARE FREE!」って、思い思いの格好で差別撤廃を訴えるんですけど、それを普通の主婦が赤ちゃんを連れて見に来ている。「カッコいいなあ!」って思った。ソーシャル・プロジェクトをいろいろ立ち上げていますが、もっともっとできる気はしてるんですよ。たとえば、多様性を認めることをテーマにした場合、ゲイの著名人を呼んでシンポジウムで話をしてもらいましょうっていうやり方もあるんだけれども、やっぱり、ワクワクしたり、心を動かすかたちでやらないと意味がないと思うんです。

――ソーシャルにはどんなことを期待していますか。

かつて広告は先の時代を指し示すものだっていう矜持があったし、見る側にもそれを期待する気持ちがあったと思います。既存の価値観とか概念に揺さぶりをかけるというか、みんなが自由に考えたり、自由に発言することがものすごく大事だと思っているので、そういうことを、広告にかかわっている僕らが、やれてるかっていうと、どうなんだろう? っていう疑問があって。

そういう話を、広告にせきかかわるみんなでする場所はもっともっと必要だと思います。いま、広告は迷ってるわけじゃないですか。ただ、迷いの質が昔と違って、昔はどう伝えるかって表現のところで悩んでいたと思います。でもいまは、広告というフレームについて、あるいはそもそも広告っていう存在について悩みながらやってる。 その一方で、実はイノベーションはいろんなところで起こっている。震災後、人が人を助ける仕組み、新しいイノベーションがたくさん生まれていて、それらは実は世界的にみてもすごく価値のあるソーシャルデザインだと思っています。それを世界に発信していけば、日本はソーシャルデザインの先進国になる可能性すらあると思います。

ソーシャルデザインを、そろそろ次のフェーズに引っ張り上げなくちゃいけないんです。社会貢献と広告の融合が、特別なものじゃなくて、当たり前になるようにしてかなきゃいけない。電通ソーシャル・デザイン・エンジンというチームがリードして、そういう道筋をつくっていくことができるといいなと思います。でも、まだ自身が、そのベストなカタチの事例をつくれているわけではないので、本当はこんな話をしている場合じゃないんです!(笑)

プロフィール

並河 進(電通ソーシャル・デザイン・エンジン コピーライター)

1973年生まれ。「nepia 千のトイレプロジェクト」「SARAYA 100万人の手洗いプロジェクト」「ハッピーバースデイ 3.11」など、ソーシャル・プロジェクトを数多く手掛ける。DENTSU GAL LABO代表。ワールドシフト・ネットワーク・ジャパン・クリエーティブディレクター。宮城大学、上智大大学院、東京工芸大学非常勤講師。受賞歴に、ACCシルバー、TCC新人賞、読売広告大賞など。著書に『下駄箱のラブレター』(ポプラ社)、『しろくまくん どうして?』(朝日新聞出版社)、『ハッピーバースデイ 3.11』(飛鳥新社)他。

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