ソーシャル電通人

トップ >ソーシャル電通人 > #003並河 進さん(後篇)
ソーシャル電通人 #003(後篇)

ソーシャル電通人 #003
並河 進 電通 ソーシャル・デザイン・エンジン コピーライター  広告にできることは何か、自分にできることは何かを、つねに考えている。

「電通ギャルラボ」「nepia 千のトイレプロジェクト」などさまざまなソーシャル・プロジェクトを手掛ける並河進さんに、ソーシャルのおもしろさや課題について、いま考えていることを聞きました。

――「電通ギャルラボ」の話を聞かせてください。

ギャルのパワーとマインドで日本社会を活性化しようっていう「電通ギャルラボ」を立ち上げたのは2010年のことです。賞が獲れないとき、どうすればいいかというと、獲れるまでがんばろうっていうことじゃないですか。でも、賞って相対評価だから枠がある。「今年はみんなよかったから、応募した全員に賞だっ!」なんてことはない(笑)。そうすると、椅子取りゲームというか、決まった枠のなかで、毎年何人かの人がスタークリエイターみたいに出ていくって構造がある。そういう道ももちろんあっていいと思います。でも、もうちょっと違う道があってもいいんじゃないかなって。

「違う道があってもいいよね」と思ってはじめたのが「ギャルラボ」。昔の広告黄金時代とか、やっぱり広告って輝いていて、女子高生も含めて、広告が最先端というか、広告から新しい表現が生まれてくるとか、そういう時代ってあったと思うんです。

メディア環境がすごく変化して、いまではいろんなところから情報が手に入る。でも、広告自体の表現ってあまり変わってないっていうか、理想とされる表現って、美大出身の子ばっかりっていうか。広告で賞を獲っているものも、ざっくりいえば、「美大っぽいなぁ」みたいな(笑)。

 

たまらなく“アゲよう!感”がただよう「ギャルラボ」企画書

――広告業界だけでなく、広く世の中に伝わる表現をめざしたいということでしょうか。

広告の世界には、シンプルであることが絶対に正しいとかっていう決まりはないはずでしょう。でも僕には、日本料理的というか、洗練されて、方法論が確立されたすごく窮屈な世界のように感じられる。

たとえばギャル雑誌の表紙を見ると、スゴイことになっている。キラキラで覆われて、雑誌のタイトルなんか見えないですよ(笑)。ああいうデザインは、広告のデザインの教科書にはのっていない。でも、実際に、そうしたデザインの本が、いま女の子たちに支持されていて、だからこそ、ああいう「盛った」感じになっている。広告業界で支持されるデザイン、よいとされるデザインと、世の中のリアルな、女子高生たちが「いいな」って思ってるデザインのあいだには大きな開きがあるんじゃないかなと思うんです。  

もちろん、広告業界で長くつづいているデザインのなかにすばらしいモノもあるんだけれども、きれいにまとまってなくてもいいから、ダサくてもいいから、ちゃんと伝わるもの、支持されるものをつくる道を開きたいと思って「ギャルラボ」をはじめました。それともうひとつ、若い子たちが自由にやるというか、そういう場所をつくりたいという気持ちもありましたね。

――「電通ギャルラボ」の現状はどのような感じなのですか?

いまメンバーが32人いて、売上もけっこうあります。ワンテーマでフラッグを立ち上げることで知見もたまって、ビジネスにもなってくし、若い子たちが実際にやることで、クライアントに対しても説得力があります。

「ギャルラボ」は、本当にメンバーの自主性にまかせている。若いメンバーが自由にできる環境をつくっている、というのが、「ギャルラボ」の大きな存在意義なんです。いま、世の中では、女性の若いアントレプレナー(起業家)が活躍していますけど、そういう人材を育てたいっていう気持ちがあります。イントレプレナー(社内起業家)を育てたい。やる気があって、前に出ていく覚悟があって、責任をとろうと思ってる子がいたら、どんどん任せてみて、スターにしてあげなくちゃダメなんです。

だからもうひと息なんです。もっともっと、「ギャルラボ」からスターを送り出したい。やる気と覚悟で新しい世界は切り開けるぞと。こういったケースってあんまりないですから、次の一手を考えているという感じですね。

ギャルラボ発の「ギャルマインド」研究本(西井美保子『パギャル消費』日経BP社)

この記事へのコメント