ソーシャル電通人

トップ >ソーシャル電通人 > #003並河 進さん(前篇)
ソーシャル電通人 #003(前篇)

ソーシャル電通人 #003
並河 進 電通 ソーシャル・デザイン・エンジン コピーライター  広告にできることは何か、自分にできることは何かを、つねに考えている。

「電通ギャルラボ」「nepia 千のトイレプロジェクト」などさまざまなソーシャル・プロジェクトを手掛ける並河進さんに、ソーシャルのおもしろさや課題について、いま考えていることを聞きました。

――「アクション」と「コミュニケーション」の話をもう少し聞かせてください。

「ピンクリボン活動」でいえば、日本における乳がんの検診率って先進国のなかでかなり低いほうなんです。ヨーロッパだと7~8割なのに、日本は3割程度。そういう社会的課題に対して、広告をつくっている僕らは、乳がん検診を推進する企業やNPOから話が来て、はじめて動くわけです。でも、本当は、こうした社会的な課題をこの10年で解決するっていう目標を、コミュニケーションにかかわる仕事をしている僕らが持つべきではないのか、と思ったりもします。だって、検診を受けないっていうのは「コミュニケーションの問題」じゃないですか。

人びとの認識を変えるというのは、モノによってではなく、コミュニケーションによって解決すべき問題なんだから、コミュニケーションにかかわる僕らこそが主体的に課題を持って、企業やNPOといったパートナーと組んで解決に向けて動いていくべきなんじゃないかと。

ユニセフ「世界手洗いの日」プロジェクトを立ち上げて知ったのは、日本国内と海外では事情が違っていて、途上国では手洗いができてないことで亡くなる子どもたちがたくさんいる、という状況。手洗いへの意識を高めることが、国の課題としてあるんです。でも、そういう話をすると、「それはその国の政治の仕事じゃない?並河は政治家になりたいの?」といわれたりして(笑)。

 

 

国際衛星年だった2008年、正しい手洗いを広めるため、毎年10月15日が「世界手洗いの日」に定められた

――社会的課題にだれがどう取り組むべきか、という話ですね。

「それってほんとに政治の課題かなぁ?」って思うんですよね。だって、コミュニケーションという面でいえば、政治家よりも、僕らのほうが得意だったりするじゃないですか。「みんなの意識を変える」とか、「いま気づいてないコトに気づいてもらう」とかは、政治家よりも、NPOよりも、僕らがいちばんやり方を分かってる専門家でしょう。それなのに、僕らが主体的に取り組もうとしないっていうのはよくないんじゃないか。

理想をいえば、たとえば広告会社に10年間の見通しがあるとしたら、みんなの意識を変えて、いい社会にしていくんだっていう目標が、売上の目標と並ぶようになってほしいと思っているんですよ。そういう意識を、感覚としては、広告に携わる人間は本来持っていると思います。たとえば、よくいわれる「広告で日本を元気にしよう!」っていう話だってそういうことじゃないですか。経済以外にもいろいろな元気があるはずだし、数値目標を掲げて社会的課題を解決していくような方向に広告会社がシフトしていくといいなと思っています。

プロフィール

並河 進(電通ソーシャル・デザイン・エンジン コピーライター)

1973年生まれ。「nepia 千のトイレプロジェクト」「SARAYA 100万人の手洗いプロジェクト」「ハッピーバースデイ 3.11」など、ソーシャル・プロジェクトを数多く手掛ける。DENTSU GAL LABO代表。ワールドシフト・ネットワーク・ジャパン・クリエーティブディレクター。宮城大学、上智大大学院、東京工芸大学非常勤講師。受賞歴に、ACCシルバー、TCC新人賞、読売広告大賞など。著書に『下駄箱のラブレター』(ポプラ社)、『しろくまくん どうして?』(朝日新聞出版社)、『ハッピーバースデイ 3.11』(飛鳥新社)他。

この記事へのコメント