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ソーシャル電通人 #002
加形 拓也 電通 第4CRプランニング局 ストラテジック・プランナー/a-con理事長 社会にイノベーションを生みだすNPOを
コミュニケーションのスキルで応援したい!

NPOのコミュニケーションをサポートする活動をつづける加形さんに、 活動のきっかけや、活動の内容、これからの課題についてききました。

――他にはどういったサポートをなさったのですか。

アジア各地で教育支援を行っている「シャンティ国際ボランティア会」という公益社団法人があります。彼らは、寄付金を集めるためにボーナスの時期に5万通くらいダイレクトメールを送るんです。もともとはあるお寺の住職さんがはじめたNPOなので、お寺の関係者やご高齢の方々からの寄付が多いのですが、1件2,000円~3,000円くらいの募金を、薄く広く集めている。でも、最近は寄付もだんだん落ちてきているというので、ダイレクトメールを改訂しようということになりました。

そのときもまず、シャンティのボランティアスタッフに「内部からはどう見えるのか」「外部からはどう見えるのか」を聞いて、出てきた答えをホワイトボードに貼っていくようなワークショップをやりました。海外から帰ってきたばかりの職員の方々にも見ていただきながら、課題を洗い出し、ダイレクトメールの導線をどのようにするかといったコミュニケーションの専門知識をベースに構成を練り直しました。

募金のお願いですから、単に送りつけるのではなく、きちんと手書きで一筆入れようとか、そういう工夫もして、ダイレクトメールを送ったところ、数%レスポンス率が上がったんです。それってすごいことで、寄付の金額が数百万違ってくると、現地では図書館が2つか3つくらい建っちゃうんですよね。

a-conのサポートの結果として、みんなを巻き込んでコンセンサスをとりながらやっていくシステムが、ダイレクトメールだけではなく、いろいろなことに応用できるという考え方をシャンティと共有することができたのではないかと思っています。

 

 

ダイレクトメール制作のお手伝いをしたシャンティ国際ボランティア会広報担当のみなさん

――だいたいどのくらいの時間をa-conに割いているのでしょう?

a-conでは第3土曜日に定例会があります。その日は忙しくて、10時から運営会という会議があって、午後に新メンバー説明会があります。そのあとが定例会で、各プロジェクトをみんなで共有して、最後に新しく来た人を交えて懇親会をしたりします。

いま、僕自身が現場にかかわっているプロジェクトは1つだけで、2週間に1回くらい打ち合わせがあります。そのほかに文書作成などのデスク作業もあります。定例会と打ち合わせで月に3日くらい、それにデスクワークが5、6時間、あと月に1回くらいはセミナーに呼ばれます。ひと月あたりでいうと、週末のどちらか1日を半分くらいa-conにあてる感じだと思います。でも、本業の仕事をしながら、a-conのことを考えることもありますよね。僕がもっと動かないとよくなっていかないんじゃないかなとか。

 

――NPO活動のやりがいについて教えてください。

本当はイノベーティブなコミュニケーションをガーン!とやりたいんです(笑)。でも、コミュニケーションまで手が回らないNPOも多いですから、少しのお手伝いをするだけでけっこう成果が出たりします。僕は、本業では飲料メーカーを担当していますが、飲料業界のコミュニケーションは本当に競争が激しくて、売上を前年比から1%でも伸ばすために、メーカーやお手伝いしている広告会社がどれだけの苦労をしているか実感しています。そういった経験を考えると、NPOをサポートする場面で自分が得たスキルが直接役に立っている実感はあります。

NPOは社会的な課題解決の最前線に立つセクターだと思います。企業は「ここに課題があるな」と思ってもビジネスとして成立しなければ参入しませんし、政府には公共性のジレンマがあって、公平でなかったり、みんなが納得する論理がなければ参入できない。ところがNPOはそういうところにすっと入っていってイノベーションを起こしたりする。

ふだんはあまり目にすることのないような課題に取り組んでいる人たちからいろいろな話を聞けて、感謝され、ケータイでやり取りする仲になれるというのはすごく魅力的だなって思います。  

あとa-conってNPOらしくないっていうか、けっこう楽しいんですよね。忙しいなかでも、みんなが気軽にできるようになったらすごくいい。最初はビジネスの関係でなくても、あとからメンバー同士で仕事が生まれたりもしている。違う業界の人と知りあって、「今度こういうビジネスしようよ」という人もいる。いま、どういったビジネスをやるにしても、ただお金を儲ければいいというだけではなく、その商品やサービスが社会に対してどのように役に立つかという視点が必須になってきています。a-conのプロジェクトで一緒にボランティアをしたメンバー同士であれば、そういう視点を持ちながらビジネスをはじめられるのでいい成果が生まれがちなんです。

 

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