ソーシャル電通人

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ソーシャル電通人 #002
加形 拓也 電通 第4CRプランニング局 ストラテジック・プランナー/a-con理事長 社会にイノベーションを生みだすNPOを
コミュニケーションのスキルで応援したい!

NPOのコミュニケーションをサポートする活動をつづける加形さんに、 活動のきっかけや、活動の内容、これからの課題についてききました。

――大学ではどんなことをしていたのですか?

もともと僕は戦争教育とかにセンシティブに反応しちゃう子どもで、原爆の話とかすごく怖かったんです。それから、地理や歴史が好きでしたから、将来は世界平和につながるような仕事ができたらいいなくらいの感じで、ゆる~く考えていました。

大学でも、ゆくゆくは国連やJICAといった組織に入りたいというようなグループにいました。海外志向や国際協力志向はあったのですが、具体的なことは決めかねていて、バイトしては3、4か月のあいだ世界中を回るという生活をつづけて、なんだかんだで80か国くらいは行きました。そういうことをするなかで、NGOでインターンをするようになり、外国で活動をするようになりました。

――インターンはどのような感じだったのですか?

あるNGOの日本事務所でお手伝いをしていたんですが、スタッフの方々は海外に出掛けることが多く、僕らにできることって、留守番しているとか、グローバルフェスタやアースディといったイベント用にビラを作成したり、ビラ配りをするくらいなんですよね。そのときに、自分の無力さというか、お金がないと事業を継続的に回していくことができないということを痛切に感じました。スタッフの方々はとにかく忙しいんです。朝8時に来て、終電ギリギリにダッシュで帰るって感じ。当然、戦略的な展開を考える時間もスキルアップする時間もなかったように思います。

 

2000年に訪れたサラエボ。
ユーゴ紛争で崩れたビルがそのまま残っていた。

――電通に入社するきっかけは何かありましたか?

きっかけになるようなことは2つありました。ひとつは、インドで植林や給水の支援をしている日本のNGOで、1年くらいインターンをさせてもらったときの経験です。そのなかで、「自分に何ができるか」ということを一生懸命考えた結果、NGOの活動をきちんと伝え、その活動を大きくしていくことが大切だと思ったのですね。それ以前には、JICAやNGOに働き口を見つけ、海外で暮らすのがいいかなっていうくらいのイメージでしたから、大きな変化になりました。

――もうひとつのきっかけは何ですか? 

もうひとつは、大学時代に出かけたアメリカでボスニアの女の子と知りあって、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の話を聞いたことです。彼女が住んでいた首都のサラエボはくぼ地にあって、街を見下ろす丘の上に狙撃兵が陣取っていて狙撃されてしまう。彼女自身も小学校に行く途中に狙撃され、歩くことはできるけれども、走ったり、激しい運動はできなくなってしまったんです。

知りあったのはお互い19歳くらいのときだったのですが、その後サラエボに行ったときに彼女を訪ねました。国連保護軍によって停戦監視が行われていた頃で、彼女は国連の契約職員として働いていました。対立していた民族はそれぞれ居住区も違いますから、大人同士は全然交流しない。そういう状況で国連のチームが、サンドイッチをだしに両民族の子どもたちを集め、狙撃兵が陣取っていた丘にピクニックに連れて行くというプログラムを組んでいて、彼女は子どもたちの引率役として働いていたんです。

引率役として、もうひとり、対立していた民族の少年も参加していたそうです。当然、最初のうちは子どもたち同士も話もしないような状況だったわけですが、ピクニックをつづけるうちになじんできて、子どもたち同士が仲良くなったのをきっかけに、親同士のあいだでも和解の兆しが表れ、そうするうちに彼女はもうひとりの引率役の少年と付きあうようになっちゃったっていう(笑)。

僕はその話を聞いて、「コミュニケーションっていいな、アイデアってすごいな」って思ったんです。和平へのプロセスというと普通は武装解除ってなるのかもしれませんが、サンドイッチを子どもにあげるというちょっとしたアイデアでうまくいく、人間の知恵ってすばらしいなって。

――そこでコミュニケーションに興味を持ったのですね。

大学3年の終わり頃から就活を始めました。そのときはまだ海外でビジネスしたいというメージで、商社や開発コンサルを回っていたのですが、たまたま大学の先輩が電通の人事にいらっしゃって、こういう会社もあるのかと(笑)。

伝えることも、物事を実現することも、きれいごとだけじゃ済まないところがある。インターンで現場を見たこともあって、ビジネスとして、自分たちの活動をきちんと伝えながら事業を回していくやり方を修行したいと思って、電通にお世話になることにしました。

 

サラエボの友人・ボヤーナと加形さん。彼女にコミュニケーションの「知恵」がもたらす力や喜びを教えてもらったという

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