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福井 崇人 電通ソーシャル・デザイン・エンジン クリエーティブ・ディレクター 2025年の世界を想像して、いまやれることをみつけていく。

2025年までに持続可能な社会を実現することを目標にしたNPO「2025 PROJECT」の活動について福井崇人さんにききました。

――福井さんが「2025 PROJECT」を設立された経緯を教えてください。

直接的なきっかけというのは、2003年に環境省が設立した「環の国くらし会議」の分科会のメンバーになったことだと思います。「環の国くらし会議」は、行政や企業、NPOやNGOといった組織の垣根を超えて、日本が環境立国になるための新しいアイデアを生み出そうという円卓会議で、僕は「住まいとくらし分科会」のエコライフのメンバーとして主にクリエーティブのアイデアを担当していました。

当時、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー、レオナルド・ディカプリオなどがソーシャルな活動をしている様子がファッション雑誌に取り上げられていて、「エコ・セレブ」としてオシャレというか、新しい価値観として提示されているのを見て、これは普及や啓蒙のかたちとしては非常に効果があるな、日本でも彼らのようなエコ・セレブがどんどん登場すればいいなと思っていたんですよね。

それで、環の国くらし会議の座長だった東京大学の山本良一先生に「エコ・セレブを普及するにはどうすればいいのかな」と相談させていただいたんです。そういった活動はひとりではできませんから、プロボノで背伸びせずにクラブ活動みたいな感じで楽しくゆるやかにやってみるということでスタートし、2005年にNPO2025 PROJECTが立ち上がりました。

――「2025 PROJECT」とは、どんな活動をするプロジェクトですか?

多くの人に問いかけをしたいと思ってはじめました。ビジョンは、2025年に地球が持続可能=サスティナブルな状態になっていること。私たちの前にある問題を解決する第一歩はまず、その問題について知ることからだと思います。それがきっかけになって、一人ひとりが「20年後の地球が、こんなふうであってほしい」と考えはじめたりしたら、未来の風景はきっとずいぶん違ったものになると思います。2025PROJECTは、あるべき未来を考え、そこからいまの世界を変えていくために、社会的に意義のあるコンテンツを、2025年まで継続的にプロデュースしてくプロジェクトです。

――「2025PROJECT」の最初のプロジェクトは、『たりないピース』(小学館)の出版ですね。

たりないピース2004年に「100万人のキャンドルナイト」という企画の際に、宮﨑あおいさんにボランティアで出ていただきました。彼女が主演した『害虫』という映画を観て「あ、いいな」と思ったり、雑誌の『オリーブ』のなかで唯一笑ってなくていつもツンツンしている彼女が僕的には非常に目立ってたんですよ、「なんだろう、この子は?」って感じで(笑)。おそらく、何か新しさを感じていたんでしょうね。そんなことがあって、みんなの関心を高めなければいけない環境の世界でライフスタイルを訴求したいというところで、あおいさんに声を掛けさせていただきました。
当時は、宮﨑あおいさんもブレイクする直前という感じで、非常にタイミングが良かったと思います

――なぜ、本の出版だったのでしょうか?  

本にこだわりたかったのには理由があって、広告を見てもなかなか人生は変わらないけれど、本を読んで人生が変わることってあるじゃないですか。本を読むには時間がかかる。何度も読みかえしたりする。時間軸が違うというのか、映画もそうだと思うんですけども、広告とは違う時間軸で、人生を変えるかもしれないものをつくってみたい。いままでの広告とはまったく違う表現がしたいという欲求がすごくありました。

――『たりないピース』の制作で大変だったことってありましたか?

大変ですよ、それは(笑)。そもそも僕は本をつくったことがないですし、広告のルールと全然違う。広告はそぎ落としていかなくちゃダメだけれども、逆に本の場合は足していかないとダメだっていうことを学びました。同じグラフィックなのに、業界が違うとこんなにもルールが違うんだなっていうのは非常に勉強になりました。

『たりないピース』に関しては、価値観を変える本にしたいなっていうのがミッションで、インドのなかの貧しい場所へ行くのに、華やかな格好とかお化粧するっていうのもおかしいですから、ヘアメイクもスタイリストも付けず最小単位で行ったんです。最初はバングラディシュに行く予定だったんです。でも、出発の2週間ぐらい前にバングラディシュでテロが起こって、急遽コルカタに変更になりそれも大変でした。でも、社会貢献型でちょっとライトな感じ、「生き方をちょっと考えよう」というテイストの本は初めてでしたから、NGOのあいだでもすごく話題になりました。6年たっていますが、まだ売れつづけています。

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