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ゲストインタビュー#009 (後篇)

ゲストインタビュー#009(後篇)菅谷亮介さん 多国籍チームが世界中の社会問題を解決していく。

ベトナムやラオス、タイなどにおける実践的なプログラムを通じて、グローバルに活躍できる人材の育成をめざすvery50。代表理事の菅谷亮介さんに、日本における社会問題やこれからの展望についてうかがいました。

アジアで起こっていることに無関心ではいけない

この仕事をするようになって目に付くようになったことは、人びとが無知や無認識から、まったく予期せずに誰かを傷つけてしまっていることです。現在、アジアの新興国の多くでは、地元の有力者による地上げが進んでいます。バブル以前の日本がそうであったように、半ば強引に土地を買い上げて、高値で売り飛ばすといったことが社会問題化しています。そうした状況は、必ずしも日本と無関係ではありません。日本企業が現地に進出して工場を建設するような場合、同じようなことを起こしている可能性はゼロではないでしょう。アジアは日本企業にとって非常に重要な市場であり、だからこそ、いまアジアの国々で起こっていることに無関心であってはいけない。

最近、「グローバル人材」や「グローバルリーダー」という言葉をよく耳にします。しかし、「アジアで勝つために!」、「アジアの可能性」、「若者よ、日本を出よ!」といった主張のほとんどは、「このままだと日本は(経済で)世界に負ける」、「世界の最適地でビジネスをせよ」という、「お金」をベースに語られているケースが多いように思います。たしかに経済発展は重要だと思いますし、日本がグローバル競争力を高めていくことも必要ですし、人材育成も急務だと思います。しかし、すごい人材であればこそ、ローカルのことや取り巻く環境において起こりうる問題などを多方面に知ったうえで、判断ができる能力を兼ね備えてほしい。そうすれば、世界はもっと持続可能な社会になっていくのではないかと思います。

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日本の学生には英語スキル、多様性、フィロソフィーが足りない

最近気になることは、「自分で考えない」、「課題解決型の思考にならない」人が増えてきたことです。批判するだけの人はたくさんいますが、「では、あなただったらどうする?」と聞いても代替案を出せなかったりします。これは大きな問題です。

海外の人たちと何かをやろうとするとき、考える力が弱いとプレゼンの質が低くなってしまいます。また、英語の問題も非常に大きいです。日本は世界第3位の経済力を持っているにもかかわらず、TOEFLの点数はアジアのなかでさえ下位です。日本では、著名な英語の文献の多くを日本語で読むことができますが、途上国には母国語に翻訳された文献がほとんどありませんので、一生懸命英語を勉強して読むしかない。そうした「窮すれば通ず」的なやり方のほうが英語力アップに効果があるのかもしれません。

もうひとつの問題はエリート教育がないことです。平均をとってみれば、日本の大学生が劣っているわけではないと思いますが、日本の有名大学の学生と、韓国の高麗大学や香港の香港大学の学生を比較すると、後者のほうが世界に通用するリーダーがより多く育つ環境にあるのではないかと思います。彼らと日本の大学生を比べると、「英語をはじめとするコミュニケーションスキル」、「多様性のなかでのディスカッションの量」、「フィロソフィーの深さ」などの差が大きいように思います。

フィロソフィーというのは、「いかに生きるか?」ということで、若いうちから真剣に考えさせることで自分のアイデンティティを自覚し、自らの意志で自分のキャリアを決めることができる軸のある人間形成が出来ると思います。

また、人種や国籍あるいは宗教の違いといった多様性に富んだ環境のなかで学生生活を送ることで、違う意見を持った人と議論したり、仲間になったりする経験こそが、先ほどいった “自立した優しい挑戦者”を育み、リーダーが育つ環境になると感じています。

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