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ゲストインタビュー#008 (後篇)

ゲストインタビュー#008(後篇)赤羽真紀子さん グローバル化のポイントは現地への権限委譲。

世界経済の原動力ともいわれるアジア地域ですが、一方で環境破壊や貧富の格差、人権や健康など、社会課題も満載です。日本企業によるアジアでのCSRへの取り組み、その問題点や問題解決の方向性を探ります。

グローバルで注目を集めるCSV

最近、CSRと本業やチャリティ活動の関係で、注目を集めているのがCSVといわれる経営理念です。CSVはハーバード大学ビジネススクール教授のマイケル・E・ポーターが提唱したもので、チャリティではなく、本業を通じて社会課題の解決を図る、社会課題を解決しつつ企業としても利益を生み出せる活動であるべきだという考え方です。経営層を説得できるロジックを含んでいますので、社会課題満載のアジアにとっては、「いいね!これ使える」という感じで受け入れられつつあるように思います。

いまのところ、CSVはアメリカのほうが盛んだと思いますが、日本でも関心を持つ企業が増えています。ただ、考え方としては非常にすぐれた解決策なのですが、もともとの論文には「どうやって実現していくのか」という実践のところがあまり述べられていないのですね。タイのサミットでもCSVのセッションは超満員でしたが、「どうやってやるのか」をディスカッションしたいという声が数多く聞かれました。CSRアジアはCSVの考え方をアジアにおいて広めるためのハブ機能を担っており、この12月にはシンガポールでCSVのセミナーを予定しています。

アジアの熱気がライブに伝わってくる

CSRアジアは、企業の社会的責任(CSR)や持続可能性(サステナビリティ)の分野を専門にしたアジア最大級のネットワークをもつシンクタンクで、2004年に香港で設立されました。2010年に開所した東京のほか、クアラルンプール、シンガポール、バンコク、ジャカルタ、シドニー、英国に事務所と契約拠点があります。各国事務所とはスカイプやメールでやりとりをしますので、東京にいながらアジアの熱気がライブ感覚で伝わってくるようなところがあります。

アジアで社会課題を解決したいと考える企業さんのお手伝いをしたり、良いことをやっているにもかかわらず、現地であまり知られていないケースも非常に多いのですが、そうした活動を広くお知らせするお手伝いをしたり、やりがいもありますし、ほんとにおもしろい仕事だと思っています。

日本のスタッフは3人、アジア全域でも40人くらいの小さな組織ですが、みんなチャレンジ好きというか、新しくて良さそうだなと思うと、「バクッ」と喰いついて、やり始めるような感じです。「なにをやるのも自由」という気風がありますので、向こうで「これをやっている」と聞けば、「じゃ、こっちはこうしようか」とか、機動力があるというか、自分たちが良いと思ったことを追求できる組織だと思います。

私自身は、あるときは研修の講師を務め、あるときは第三者意見を執筆し、あるときは経理書類を作ってとか、ほんとに幅広い(笑)。必ずしもエキスパートが入ってくるという感じではなくて、CSRは初めてという人もいますが、熱い想いを持っていたり、CSR分野で専門性を身に着けたいという意欲が高い人が多いと思います。

2011年に香港で開催したCSRアジアの年次国際会議の基調講演。
世界から400人以上が参加。

 

プロフィール

赤羽真紀子(あかばね・まきこ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、三菱銀行に総合職として入行。退職後、早稲田大学教育学部理学科生物学専修に学士入学。 米国カリフォルニア大学リバーサイド校大学院生物学科、タフツ大学大学院動物公共福祉学科で学ぶ。 帰国後、スターバックス コーヒー ジャパンを経て、米国セールスフォース・ドットコム日本法人における社会貢献部立ち上げの成果が認められ、アジア・パシフィックの社会貢献部門統括に就任。 その後、日興アセットマネジメントの初代CSR室長を務めた。 現在は「CSRアジア」日本事務所代表として活躍している。

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