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ゲストインタビュー #006 (後篇)

ゲストインタビュー#006(前篇)中村俊裕さん 途上国にテクノロジーを届ける

元国連職員の中村俊裕氏が、途上国における貧困問題の削減を目指して立ち上げた米国NPO法人『コペルニク』。「企業や大学」と「現地パートナー」、そして「寄付者」の3者を、オンラインマーケットプレイスを通じてつなぎ、最貧困層の生活の質を高めるテクノロジーを有償で配布するシステムが、今、世界の注目を集めている。

——なかでも、モデルケースといえる事例はありますか?

中村 浄水器に関するプロジェクトは、好例といえるかもしれません。インドネシアにおいて、現地のNGOとテクノロジーフェアを開催し、安全な飲み水をつくり出す浄水器の必要性を説きながら、市場価格の7割で販売しました。すると、この浄水器の良さが口コミで広まり、私たちもその浸透具合に合わせるかたちで徐々に補助金率を下げ、最終的には市場価格でも浄水器が売れるまでになりました。そして現在では、この地域の女性が自分たちで会社を設立し、安全な飲み水の普及ビジネスを進めています。支援が私たちの手から離れ、ビジネスとして現地で展開されることは、地域の問題を解決し、コミュニティを豊かにするという点で、ひとつの理想形だと考えています。

——プロジェクトで扱われるテクノロジーは、どのように見出だされ、製品化されていくのでしょうか?

中村 技術や製品を有する企業から連絡をいただくこともあります。が、基本的には自分たちでリサーチを進めています。1970〜80年代から「適正技術」というのがブームとなり、途上国向けにハイテクを使用しない、シンプルでわかりやすいテクノロジーが開発され、コミュニティに導入されてきました。これを「第1の波」とたとえるなら、今は「第2の波」がきています。テクノロジーがさらに洗練、具現化されたことにより、個人向けの技術や製品も増え、その幅が格段に広がっているのが特徴です。そして、その流れを生み出しているのがMIT(マサチューセッツ工科大学)です。現在、MITとUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)が協働で、途上国向けのテクノロジーを評価するプロジェクトを推進中ですが、『コペルニク』もフィールドを知るパートナーとして仲間に加わり、現地の環境に適したテクノロジーを積極的に評価することで、より良い製品の開発に寄与しています。

cotas共同取材 http://cotas.jp/

(文:宮澤英伸 写真:秋山まどか)

プロフィール

中村俊裕(なかむら・としひろ)

米国NPO法人『コペルニク』共同創設者兼CEO。マッキンゼー&カンパニーを経て、国連に勤務。東ティモールやシエラレオネなどの途上国で、国際開発援助機関の事業に従事。2010年2月に『コペルニク』を立ち上げる。

[米国NPO法人コペルニク] http://kopernik.info/ja/

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