ゲストインタビュー

トップ > ゲストインタビュー > #006 中村俊裕さん(前篇)
ゲストインタビュー #006 (後篇)

ゲストインタビュー#006(前篇)中村俊裕さん 途上国にテクノロジーを届ける

元国連職員の中村俊裕氏が、途上国における貧困問題の削減を目指して立ち上げた米国NPO法人『コペルニク』。「企業や大学」と「現地パートナー」、そして「寄付者」の3者を、オンラインマーケットプレイスを通じてつなぎ、最貧困層の生活の質を高めるテクノロジーを有償で配布するシステムが、今、世界の注目を集めている。

——中村さんは国連職員として、途上国における貧困問題の解決に取り組まれてきました。にもかかわらず、あえてその国連を飛び出し、2010年にアメリカでNPO法人『コペルニク』を立ち上げたのは、なぜですか?

中村 国連の仕事は憧れでしたし、スケールも大きく、やりがいもありました。でも、仕事をすればするほど、支援をもっとも必要とするラストマイル(最貧困層)にまで、なかなか届かないことにもどかしさを感じるようになりました。政府を通じ、中長期的に途上国を支援していくという国連のやり方は決して否定されるものではありませんが、その政府に実行力が伴わなければ、せっかくの支援策も机上の空論。途上国においては中央政府に人手が足りず、地方の役場にいたっては机や椅子、電話すらないのが実情です。それを考えると、国連が進める「政府を通じての支援」とは別のアプローチで、最貧困層の生活を直接的に変えていく必要があるのではないかと考えたことが、『コペルニク』創設の理由です。

——そうした理由から『コペルニク』の活動がはじまるわけですが、その取り組みの特徴、ユニークさはどんな点にありますか?

中村 一言で言えば、ディストリビューション(流通)にあります。『コペルニク』はオンラインマーケットプレイスを通じ、途上国が抱えるエネルギーや環境、飲み水などに関わる諸問題を解決できる「技術を保有する会社・大学」と、地域のそうした問題解決に取り組む「途上国の団体」、そして「寄付者」の3者を直接結んでいます。これにより政府を介すことなく、途上国向けのテクノロジーを必要とする人たちに直接、有償で届けることができます。無償ではなく、あえて有償にしているのは、お金を払ってでも必要なものであることを理解してもらうことが、貧困問題の解決には不可欠だからです。

——異なる3者をネットでつなぎ、途上国が抱える問題を解決するというのは、まさに「共創」でもあるわけですが、実際にはどのようなプロジェクトを進められてきたのでしょうか?

中村 私たちはこれまでに13カ国で60以上のプロジェクトを実行し、それを必要とする9万人以上の人々に革新的な技術や製品を届けてきました。1回で50リットルの水を運ぶことができる回転式の水運搬器具や、東日本大震災でも使用された太陽光LEDランタンなどを、「途上国の団体」を通じて届けています。

この記事へのコメント