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ゲストインタビュー #004 前篇)

ゲストインタビュー#004(前篇)
安藤 哲也さんNPO法人Fathering Japanファウンダー/副代表 父親が父親であることを喜ぼう

「笑っている父親が社会を変える」を事業理念に、父親育児のノウハウを伝える「ファザーリング・スクール」、育児休暇取得を推進する「さんきゅーパパ」、被災地で困っているパパを救う「パパエイド募金」など、ユニークな活動を続けるNPO法人のファザーリング・ジャパン(FJ)。5年務めた代表を降り、副代表として新たな事業に意欲を燃やす安藤哲也パパにお話をうかがいました。

首相を巻き込んだ「イクジイ宣言」

FJとしていま力を入れているのは、子育てに参加するおじいちゃんを増やしていくための「イクジイスクール」を定着させることです。先日2回目を開催し、新聞や女性誌が取材に来てくれました。ファザーリング・スクールはもう8期目なので取材も減りましたが、当初は「日本初のパパたちの学校ができた」ということで、あらゆるマスコミが来てくれて、そのお蔭でわ~っと広がって、いまでは自治体や企業と一緒にパパスクールをやっています。そこから収益が入るというビジネスモデルができていますから、今度はイクジイ版でやろうと思っています。

ビジネス誌で月1回「育G新聞」を連載していますし、3月には野田首相に「イクジイ宣言」をしていただいて、それがテレビのニュースでも流れたりしましたので、問い合わせも増えました。今後、団塊・シニア層がボリュームゾーンになっていくわけですから、次世代の育成に関心のある中高年男性を増やしていくことは、社会全体にとってもいいわけですよね。

野田首相の「イクジイ宣言」もそうですが、僕らはそういう空中戦もやっていかなければいけない。セミナーというのは地上戦で、それだけだとなかなか進まない。セミナーに来る人はある意味半分OKなわけですから、家でくすぶっているパパたちに届けるには、メディアを使って空中戦を仕掛ける必要がある。FJの立ち上げ時に「パパ検定」をやったときは、ヤフーアメリカからUAEの新聞まで150のメディアが取り上げてくれました。一躍、「パパ検定」と僕らの名前が広まったわけですが、広告効果に換算したら何十億ですよね。

腰を据えて取り組む被災地支援

東日本大震災関連では、現地のNPOと連絡を取りあいながらパパたちと絵本キャラバン隊を組んで、避難所や仮設住宅、保育園で絵本を読むといった活動をしていました。

震災直後に現地に行くと、全国から送られてきた絵本が段ボールに入ったままで山積みになってた。僕は元書店員で、出版関係のパパも何人かいますから、せっかくの善意を無駄にしたくないと、絵本を整理して、棚をつくって並べて帰るっていう取り組みをはじめました。それが発展して、いまはアメックスから助成金をいただいて、現地のパパたちと一緒に絵本の棚をつくって寄贈するというプロジェクトをつづけています。

2011年4月、岩手県大槌町へ。避難所のテントで3歳児に絵本を読む

パパたちはまだまだ復興で手一杯なのですが、本棚をつくるというある種の社会貢献をすることで、子どもの力強さとか地域の連帯みたいなものに改めてかかわるというか、そういうきっかけをつくってあげたいと思っています。

実際に現地へ行くといろいろな課題が見えてきますから、それに沿ったことをやっていきたい。自分たちが被災者になったらどうなるだろうか、どんなことを考えるだろうか――そういう想像力を持つべきですよね。最初に被災地に行ったとき、僕らはパパたちを励ましに行こうと思っていたわけですが、家も仕事も流されちゃった男性ってこうなるのかっていう姿をまざまざと見ましたからね。一日火を囲んでぼ~っとしているだけ。女性たちは、ご飯つくったり、洗濯したり、動いていましたけど。すべてが流されてしまったら、自分だって彼らのようになるだろうって思いましたし、生半可な支援ではダメだ、腰を据えてやろうと思いました。

福島では「震災分離家族ケア」というプロジェクトをやっています。僕らの原点は「父親が父親であることを喜ぶ」っていうことですから、原発事故によって離ればなれで暮らす家族が再会する際の旅費や交通費を、パパエイド募金に集まった寄付金等で援助しようというプロジェクトです。

2011年6月、福島県いわき市の小学校でFJ会員たち
と絵本を使ったライブセッション

2012年3月、宮城県気仙沼市へ。FJ会員(ピエロ)がステージで子どもたちの人気者に

プロフィール

安藤 哲也

1962年、東京生まれ。NPO法人ファザーリング・ジャパン(FJ)理事。出版社、書店、IT企業などの職を経て、2006年に父親支援のNPOであるFJを設立。「パパ’s絵本プロジェクト」メンバー、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進チーム座長、内閣府・男女共同参画推進連携会議委員、子育て応援とうきょう会議実行委員、にっぽん子育て応援団団長なども務めている。

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